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メール・マガジン
「FNサービス 問題解決おたすけマン」
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★第141号 ’02−06−14★
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組織図今昔(2)
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●日本経済が元気だった頃、
企業の評価基準は、もっぱら<資本金>、<月商>、<社員数>でした。
おお、素朴! みんな迷い無く、シコシコやってましたよ。
儲けるのがショウバイなら<利益率>が肝心、だろうにほとんど度外視。
<規模の利益>という術語?に頼もしい響きを感じていた時代、会社が
大きくなれば、シェアさえ取れば、あとは思うまま、、
かどうか、どの分野の企業も夢中で販売競争。 そういうの、私の体質
には合いません。 他社と一味違ったサーモスタットが作れたし、顧客
はそれを求めていた。 これぞ需要と供給の一致!
それを背景にサーモ屋は、別種の<おお、素朴!>をやっておりました。
即ち黙々品質と製造技術に磨きをかけ、計算通りの儲けが出るようには
努めるが、流行<規模の利益>は追わない、、
と言っても、カッコつけていたわけではない。 何せ受注生産、標準化
して待ち受けることが出来るのは部品類止まり。 それらの組み合わせ
から生じる構造的バリエーションだけで数万種、これに千変万化の温度
仕様を掛け合わせると、、 ウーン、、
その面倒がイヤで手を出す人が少ない、というニッチ(なんてカタカナ
語は未だありませんでしたが)商売。 小回り利かすにも、細かく気を
配るにも、負け惜しみでなく規模は大きくない方が良かった、、
が、その考えに賛成してくれる人は125号既述の通り、まずいません
でした。 ひと様に理解されないことにかけて私は、まことに経験豊富。
そして諸行無常、やがて経済成長が止まり、
*
多様化、個別化するニーズに対応するにはアジール! とか言われ始め、
階層段階を減らした<フラット化>や、多くの階層を要しない<小さな
ピラミッド>への<分社化>など、ラジカルな大企業病対策がチラホラ、、
確かに段階が多ければ情報の伝達に余分な時間がかかる。 伝達過程で
話が違ってしまうことも頻々、時には誰かが気の利いた選別のつもりで
肝心なのを省いてしまったり。 だから
トップは現場を知らねばならぬ、、と説かれているわけですが、現場を
見ない、ナマの声を聞きたがらない<上>が現実に絶対多数。 そんな
彼らの意識や行動ぶりを改めさせるには念仏的精神論じゃダメ、いっそ
物理的距離を縮めてしまえ、、 で、フラット化、分社化、、
そうした<対策>の新顔が、前回も拝借したNHKスペシャル<変革の
世紀>で紹介されていた<逆転の発想>的組織改革。 今まではボトム
だった製造や販売の第一線が一番<上>、管理職は彼らを下から支える
形で次々重なって行き、一番下がトップ、の<逆さピラミッド>。
* *
それを「フォード社で今年1月、、」と紹介してましたが、ずっと前に、
どこかで読んだ気がしなくもない。 世界的大企業で公式的に、という
のは初めて、なのかも。 しかしその発表会、まあ大がかりなこと。
ステージの袖から真っ黄色のレーサーがしずしず、、 え?新車発表?
の趣き。 ドアを押し開けて創業者の曾孫ウィリアム・フォード会長が
颯爽と現われ出る、、 アメリカ的ショウアップ。
壇上に役員連も並んで見た目は盛大だが、会長のスピーチは<フォード
再生計画>。 再生?! そんなに悪かった? 何年来常態化している
シェア低下傾向を脱却すべく、「会社を大転換させます、、」と。
その昔ヘンリー・フォードは自慢の<T型>にこだわってGMのライン・
アップ戦略に破れ、<消費者の多様な嗜好に応じる必要>を噛み締めた
はずでしたが、どうやら<歴史は繰り返>したようで。
いま凋落の危機に瀕して勃然顧客志向へ<大転換>宣言、とはあまりに
遅蒔き。 それゆえ派手にせざるを得なかったのでしょう。 ともかく
* * *
「大量生産を見直し、現場への権限委譲を徹底させる」そうで、それを
表わした組織改革案が<逆さピラミッド>。 これに伴い、またITの
活用もあって中間管理職の役割が<大転換>、、
と改革担当副社長はブチ上げる。 「上からの指示を現場に伝える仕事
は必要でなくなった。 これからは生産現場を助け、支えるのが仕事だ。
これまで『考えるな! 言われた通りに!』で働いていた人たちが権限
を持つ時代になったのです。 で、あなたたちには何が出来ますか?
考えて下さい」。 え?考えろ? こりゃほんとに<大転換>! 我々
<中間>も
"I make decision. You implement!" で使われるだけ、考えさせてなんかもらえてなかったんだぜ、、 かどうか、
<中間>さんたち、みな憮然。 分かりますよ。 「一番大切な人々が
最底辺に押し込められていた。 オカシイじゃありませんか?」と問い
掛けつつ睨め回す副社長は皮肉にも一見<権力志向>タイプ。
<押し込め>ていたのは会社なんだから、それがオカシイことだったと
気付いたのなら身が縮むだろうに、何故か会社、胸を張ってましたな。
これからの<逆ピラ>でアンタ、ほんとに我々<中間>を支えてくれる
のかね? と念を押したいところでしょうが、一同シーン、、
「一番大切」にしてくれたことが無いどころか「必要でなくなった」と
まで決めつけて来るコワイ人に向かってそんな勇気、出なくて当然です。
* * * *
ところで副社長の「一番大切」は<顧客>をも含んでおり、消費者尊重、
販売第一線からの市場情報を<天の声>として聞こう、という構え、、
は神妙だが、何を指示すべきか<上>が分からなくなっての<天の声>
頼み、じゃないかとも疑われます。 しかもその<天の声>、必ず従う
べきものかどうか?
<上>が常に正しい指示を出していたわけでないのと同様、<天の声>
も正しいことばかりじゃあるまい。 たとえそれに従っても、<天>が
必ず車を買って下さる保証は無いのだし。 実際、
自動車史上最も有名な売り損ない<エドセル>は、「市場調査の結果を
全面的に反映させた」自信作だったのだから。 フォード社があの痛切
な経験を忘れるはず無いだろうが、これも<歴史は繰り返す>か?
勘繰ればこの<天の声>優先方針、<エクスプローラー>横転事故多発
でソッポを向いてしまった<天>の気を惹き直す狙いでの大芝居、かも。
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●見方を変えれば逆ピラミッドは、
必要な時、必要なサービスを、必要なだけ提供する<管理職のカンバン
方式>。 無駄防止に良いかも知れない。 が、人間易きに就く、要求
が来なければ、、で、<要求待ち>になりはせぬか?
正立ピラミッド組織で言えば<指示待ち>人間、逆ピラの<要求待ち>
も軽蔑されるに違いない。 そんなのはたちまち居場所を失う、だろう。
なるほど、逆ピラは上位者淘汰促進の仕組みだったのか。 威張る割に
働かない、なんてのをいなくさせるアイデアなら歓迎すべきですね。
<キャリア組>や派閥のはびこる我が国の組織には、さぞ有効でしょう。
*
<要求待ち>に陥るのを防ぐには、アタマを正しく働かせることが必要。
そのためには、よく現場を見て回り、質問し、聴き取り、業務や部下の
現実を掴む。 即ち正見正思(第134号)、ですな。 たとえば
ヒューレット・パッカード社の言うMBWA、
Management By WalkingAround はそのテクニック。 仕事を熟知してなきゃ良いマネジメント
は出来ない、というアタリマエ。 そして言わせて頂くなら、
MBWAは管理者の<生活習慣>です。 デービッド・パッカード氏は
<The HP Way>の中で「その方法自体は私がGEにいた頃に考えたもの
だった」と述べているが、要するにそう<する>人だった、ということ。
そのような<習慣>が全員に及び、社風にまで固まれば、組織を逆さに
してみたり、大袈裟に発表して恥を曝すなんてことはせずに済むはず、、
だから逆ピラはただの組織改革ではなく、社風改革のアイデアなのかも。
* *
問題は、そういうマメな習慣がこれまで無かった人たち、果たして万全
<天の声>に応えられるかどうか? 何しろ要求する側と応える側、
文字通り<多勢に無勢>ですからな。 そこでますます必要になるのが
<捌き>のテクニック。 何を優先的に取り上げ、どう対処するか、、
これはSA:状況分析そのままですから、SAシートに書き出せば、
それによって、担当者の意欲を高めること、関係者の協力を求めること
などが容易になり、進捗が促進されます。 逆ピラやMBWAはむしろ
SAに先立つネタ集めテクニック。 それを習慣化することはもちろん
有益でしょうが、組織活動を有効ならしめるには
Rational Processのような<技法>を活用した方が宜しい。
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どこぞで斬新な試みが大ヒット、と聞けば、じゃウチも、になる我が国。
これからは逆ピラ! なんて話が間もなくあなたの周辺に来るかも知れ
ません。 その時にはこの一文、思い出して参考にして下さいね。
■竹島元一■
■今週の
<私の写真集から>は、 ★モンスター?★
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